女性に著しく多く、そして35歳から増えてくる兆候を見ると、「ホルモン分泌の不安定化」というところは無視することが出来ません。女性は35歳頃から女性ホルモンの分泌が減少し始め、45歳くらいから更年期へと移行します。ホルモンは体のすべての働きに影響を与えるため、結果的に頭痛の要因になることも十分に考えられることです。
ホルモンは体の恒常性には欠かせません。このホルモンをコントロールしている監視中枢は脳にある「視床下部」です。視床下部は血中に含まれるホルモンの量を常に監視しています。
2種類の女性ホルモン
・エストロゲン(卵胞ホルモン)
・プロゲステロン(黄体ホルモン)
視床下部
「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」を分泌
↓
脳の下垂体
「卵巣を刺激するホルモン」と「黄体化ホルモン」を分泌
↓
卵巣
「エストロゲン」と「プロゲステロン」を分泌
という3つの場所を経て一般的に女性ホルモンと呼ばれるものが分泌されます。余談ですが、この女性ホルモンと呼ばれるホルモンは、一生でティースプーン1杯分程しか分泌されません。すなわち、ほんの微量で毎月女性の体に変化を及ぼしているわけなのです。
・エストロゲン
このホルモンは妊娠を準備するホルモンで、女性らしさや美肌に一役買っています。一般的には、血管を拡張させて、体温を下げる働きがあります。エストロゲンは排卵直前から分泌量を増やし、ピークは排卵直後です。これによって基礎体温に変化を及ぼします。エストロゲンは自律神経に大きな影響を与えるホルモンです。
・プロゲステロン
このホルモンの働きを簡潔に述べると、受精卵の着床や、妊娠を維持し手助けするホルモンです。
これが分泌されると体は乳腺を発達させ、体温上昇、食欲増進、血糖値の正常化、体脂肪を減らす、ホルモンバランスを調整するという役割があります。排卵後から次の月経が始まるまでに分泌されます。
また、このホルモンが分泌されると、精神が不安定になったり、肌荒れやニキビができやすくなります。
この2つのホルモンは常に交互に優位になって働きを繰り返しますが、年齢とともに分泌量が減ってきます。
先に書いたように、視床下部→下垂体を経て卵巣に指令が出されますが、年齢とともに卵巣の機能が低下して、上手く指令をキャッチできなくなるのです。そうなると、血液を通じで監視をしている視床下部は、もっと女性ホルモンを分泌するように再指令を出します。こうして誤作動を起こすのが「更年期障害」と呼ばれるものです。
頭の血管が拡張されると、血液がうっ滞し、炎症や痛みを起こす物質(プロスタグランジンやブラジキニン)が放出されます。それが血管をさらに拡張させて、周囲の神経を刺激しはじめるわけです。
上記でご説明した通り、女性は特にホルモンの働きによって、血管が収縮と拡張に翻弄されてしまいがちです。中でもエストロゲンには、血管を拡張させる作用もあることから、頭痛を誘発する因子を持っていることになります。
もちろん、これは女性だけに限ったことではありません。男性にもエストロゲンは分泌されています。男性は女性のように卵巣を持ってはいませんが、腎臓の上に傘のように乗ってる「副腎」から分泌されるためです。ただし、女性ほど分泌量は多くありません。