整体で行う基本的手法の考え/六本木GEN流院

当院の整体法

 整体法は様々ありますが、根本的に何であれ、人間の体の習性は同じです。この習性に習って、どの様に外部からアプローチをして行くのかというのがそれぞれの整体法ということになります。
 大きな枠組みでは、どんな手品的な施術方法であっても、下記の種3類に全ては集約されます。例外として、非接触式のものはそれだけに限りません。例えば気功のような概念もありますが、これは接触式の方法とはまた異なります。当方も非接触式の施術は大好きですが、風呂敷を広げ過ぎると、読者の理解度によって混乱しかねませんので、ここでは省略させて頂きます。

直接的な方法

 例えば、筋肉で緊張を起こしている部位があるとします。緊張=収縮ですから、直接的に介入するという意味合いで、これを引き延ばす操作をするわけです。
 一言に引き延ばすといっても、細分化した方法は多岐に渡ります。下記は主に名前が付いているものを挙げてみました。

直接的手法の種類

・一般的なストレッチ法
・筋膜リリース法
・指圧法

 皆さんも想像ができるかと思いますが、それぞれの方法には特色はありますが、「強さ」についての可変値は無数です。痛い位に押した方が良いという人から、気持ち良い程度がベストという人まで様々で、これに加えて速度感まで異なります。当院で用いる直接的な方法は、殆ど触れている程度のゆっくりとした弱さの圧力です。むしろ深い所まで変化が起こるためには、弱くする必要があります。昨今、筋膜はがしと言われる手法をよく耳にしますが、筋膜同士が仮に絡まり合って、個別の動きが出来なくなっていたとしても、弱い力で十分剥がれます。結局のところ、強くやらなくてはならない理由はどこにもありません。体感的な満足感には違いがありますから、どの程度のプラシーボ要素を含めて術者が考えるかで手法が変わって来るわけです。
 また、ここでは筋肉を例題に使いましたが、骨でも同じことです。骨の場合には、関節のズレを正す方法で同じ直接的な方法が用いられます。下の図の様に、関節の位置関係にズレが生じていたとします。これを直接的に正す方法は、「元の位置に戻すように外力を加えること」です。

 これにも筋肉同様に、強さや速度があります。イメージしやすいものですと、背骨を「ボキッ!」と鳴らす時に、瞬間的な圧力を加える方法があります。これも、正しい方向へ押し込むため、理屈的には直接的な方法の一部です。
 当院では、殆どの場合、関節に対しては直接的方法は用いません。その理由は、侵害的な外力は、物体としては正せるのですが、人間の肉体としての物体は、常に精神と共存関係にあります。つまり、侵害性のある刺激は、例えば、「失敗を怒って注意する」という行為と同じく、返ってその場しのぎの矯正になってしまうことが多いからです。但し、外傷性の例えば交通事故などの後遺症等では、この直接的な方法が瞬時に痛みを軽減させたりできますので、この辺の使いかたは術者の判断しだいになると思います。

間接的な方法

 こちらの手法の方が当院では多く活用します。直接的に対して間接的な方法とは、正反対のアプローチ方法です。筋肉が緊張=収縮を起こしている場合、従来の引き延ばしの方法ではなく、更に収縮方向へ体位を持ってゆくやり方です。また、関節に対しても同じ方法が使えます。
 この方法は、神経学的にも理にかなった方法で、一見「そんなことで緩むの?」「骨の位置関係が正されるの?」と思われがちですが、シッカリと変化が現れます。関節にはこちらの手法の方が、肉体と精神の双方が調節されます。

引っ張る

 これも結局は、先述の直接か間接かに分類されるわけですが、アプローチ方法として取り上げました。押してダメなら引いてみよといった所でしょうか。同じ方向であって、押すか引くかで全く反応が違う人がいます。また、引っ張るといっても皮膚レベルの引っ張りです。どうもしっくり整わないなと思ったら、こちらを採用すると上手くいきます。

施術を行う部位

 筋肉や骨の正し方の大枠を示しましたが、異常部位をどの様に発見するのかという疑問を頂くことがあります。一般的には、「見た目でズレているところ」という感覚でおられる方が非常に多くいますが、実際はそうではありません。
 もしも見た目だけで整体施術をされているオフィスがあるとしたら、それは大きな間違えを侵しています。何故ならば、骨格そのものは、発生学的に左右でそれぞれアシンメトリー構造(左右対象)にはなっていません。つまり、左右の見た目の対称性を追求してしまうと、それぞれの構造的個体差を無視することになります。
 こちらのページでも説明していますが、異常部位には物理的数値の変化がみられます。この数値的変化を検出しない場所は、見た目がどれだけ曲がっていようが、機能的に異常とはいえないため、施術を行うこと自体が無意味です。それどころか、正常部位に外力を加えることは、障害を与える事にもなります。我々整体師が、社会的な地位を獲得するためには、まず、誰でも分かる同じ基準の「科学的に異常部位」を検出し、それを正常値に戻す施術に徹底する必要があります。

施術を行う根拠になる部位

・関節の可動性が一方向に完全に消失している
・関節の可動性が完全消失した部位の体表面温度に異常がある
・上記2つがある部位と神経が繋がる筋肉に弱化が認められる(筋力が弱くなる)
・上記2つがある部位にレントゲン画像でも不整列がみられる

 最後のレントゲン画像については、我が国では法律的に医師及びその指示を受けたレントゲン技師にしか撮影ができませんので、整体においてはこの環境が整っておりません。よって、背骨を衣服の上から触って見つけ出すことでカバーしています。
 前に、医師の方に「整体そのものが怪しい」「むしろ危険だ」と指摘されたことがありましたが、しっかりとした科学的見地に立って行えば、何ら否定されるものではありません。特に当方の特許装置は、米国医師会(A.M.A.)によって、病気の前兆として現れやすい、体の表面温度異常を検出する装置です。米国ジョンズ・ホプキンス大学においても、同様の見識が出されたものであり、むしろそれらの科学的論文に沿った医学的な整体です。