背骨や骨格のズレを整えてゆくのですが、その詳しい理屈については「背骨や骨格のズレについて」のページをご覧ください(本質的には骨のズレが根本原因ではありませんので)。
まず、骨と骨との間には「関節」という可動範囲や方向をガイドする装置があります。この関節の移動範囲内で、正常位に戻らずに固定化されてしまっているのが「いわゆるズレ」と呼ばれているものです(医学的な脱臼とは全く異なります)。
さて、この関節が元の位置に戻らないズレに対してどのようにアプローチしてゆくのかという詳細についてです。
まず、大きく分けて方法は4種類あります。
1、直接的に元の位置に戻る方向に外力を加える
2、間接的に神経反応を利用して戻す
3、物理的に関節にある神経を活性化させて戻す
4、筋肉の異常緊張を解除して結果的に戻す
1、直接的に元の位置に戻る方向へ外力を加える(当院では殆ど行いません)
発想的にはとてもシンプルですが、関節が元の位置に戻らない状態ですから、当然物理的な力は衝突し合う格好ですので、関節への負担は大きくなります、持続的に押圧するか、瞬間的に外力を加えて押し込むか(関節からポキッと音が出る場合があります)です。関節がズレた理由に対してアプローチが欠けているため、当院では殆ど行いません。
2、間接的に神経反応を利用して戻す
1とは全く真逆の発想の戻し方で、簡単にいえばズレている方向に軽くサポートするように更に押す方法です。悪い方向へ更に押すので良くないのでは?という印象がありますが、こちらは1よりもはるかに弱い力で行います。なぜズレている方向へ更に押して元の間接の位置に戻るの?という疑問が湧くと思いますが、この方法は肉体を物体としてではなく、人間の持つ神経機能を逆手に取ったユニークな方法です。まず、全身の関節は受容器という位置感覚器によって脳は把握しているわけです。その上で、関節が元の位置に戻っていないということは、脳がその位置で均衡が取れていると感じているからです。これを1のように外力で誘導しても、結局脳は元のズレた均衡場所へ戻してしまいます。そこで、脳へリバランスを提案するために「もう少しズレた状態を誇張して脳の反応を待つ」という仕組み。1よりは時間は掛かりますが、やがて関節部分に脈を感じ始め、血流が回復した感覚を覚えます。その状態まで待ってから指の押圧を離すと、関節が元の正常な状態へ戻っているという方法です。私は結構この方法が好きです。
3、物理的に関節にある神経を活性化させて戻す
この方法は、下にあるアクティベーターという器具を使用します。基本的には分析方法とセットで器具を使用するものですが、個別の関節にも使用できます。関節に軽いノックをするかたちで刺激を加えて、関節を通じて脳を効率的に活性化させます。当院では子供など、動き回るような場合に補助的に使用しています。瞬間的にノックされるだけで痛みはまずありません。
4、筋肉の異常緊張を解除して結果的に戻す
背骨そのものというよりも、全体性の中で背骨のズレた生じたという前提で行うものです。原型はアメリカ人医師ロレンス・ジョーンズ氏が考案したもので、筋紡錘の拮抗メカニズムに着目した手法です。異常な障害のある筋肉には、押すと過敏に痛む部分があること見つけ出し、それらが弛緩するポジションを探ります。例えばぎっくり腰など、このポジションが結果的に最大限で痛みの感じない姿勢になることから、症状がはっきりとしている方に使用する価値は大きいです。また、2で述べた方法に近いことから、私は日常で好んで使用します。
内臓に施術?と聞くと、何か内臓をマッサージするように外力を加えるのかと思われがちですが、そうではありません。
呼吸の最大筋である横隔膜の動きによって、それに接する臓器が押し下げられたり押し上げられたりを繰り返します。この動きは全臓器にまで伝わる仕組みになっているのですが、呼吸によって、動かない臓器が施術の対象になります。例えば、肝臓は横隔膜と大きな面積で接触していますが、ここに異常がある場合、呼吸の動きと一緒にくっつくような感じで肝臓が動きます(接着剤でつけたような感じ)。本来は、横隔膜と肝臓の間で滑るような動きの自由度があるのですが、それが消失するということです。肝臓は、後ろで腎臓と接したり、大腸や胆嚢とも接触しますから、それらのチェックも必要です。内臓に対する施術そのものは、手を乗せる程度の圧力で呼吸と同調するようにアプローチをして行きます。初めて受けられた方の殆どが、「気功ですか?」という仰るように、内臓をマッサージするような類のものではありません。簡単に表現すると、呼吸を妨げている臓器部分を呼吸の負荷にならないように極めて柔らかい力で誘導するイメージです。
上記で背骨のズレに言及してきましたが、内臓に対する施術で、大部分の背骨のズレは消失し、元の関節の位置に戻ります。
背骨が正常な位置関係にないと、内臓を働かす神経や、筋肉を動かす神経の働きが鈍ってしまいます。他にも身体の中心から左右で、皮膚の表面温度が変わってきます(当院独自の神経機能計測器を製作)。これらの異常は、即座に病気になることはありませんが、長期間一カ所に歪みが集中すると、内臓の働きが長期的に悪くなり、さぼった分だけどこかが負担しなくてはならなくなります。そういった流れを解消するため当院では「背骨・筋肉・内臓・頭蓋」を調節し、全身を機能的な体にするお手伝いをさせて頂きます。
一般的に整体は、筋肉の痛みや関節の異常を正すイメージがあるようですが、それらは上記でご説明したように、神経機能が整う結果、筋肉や骨格が整うことによって、症状の改善が図られるものなのです。