体と温度について(編集中)

・からだの体温調節の仕組み

 体温は正常であれば、通常は36℃前後にあります。近年の日本人は体温が低くなっているという統計もあり、例えば1957年に東京帝国大学の田坂教授らのグループが調べた統計によれば(体温の研究)、当時の日本人の平熱は36.9℃であったとのことです。体の熱は基礎代謝によるものが殆どであるため、現代人は基礎代謝が減少しているのかも知れません。

 人間の体の場合、服などの保温がない状態では、20℃以下の環境温度に長時間さらされると、筋肉の緊張によって(震えて)熱を生産し始めます。一方、30℃以上の環境になると、今度は発汗によって熱を放散させて一定の環境を保とうとする「本能的」な働きがあります(恒温動物)。昨今、電力消費削減問題にちなんで、エアコンの快適温度設定というものを示しているところがあります。人間はそれぞれで体温が違うものですから、厳密には全ての人間にとっての快適温度は難しいわけですが、このことから、20℃と30℃の中間というのが一般的と言えるでしょう。

 では、筋肉による強制的な熱生産も起こっていない、そして発汗などの熱放散も生じていない安静状態のときの体は、どのように体温を一定に保っているのでしょう。これは、皮膚血流量によって決定されているのです。体表の血管は、自由自在に血管を広げたり縮めたりができます。これにより、体温の微調節を行なっています。正常であれば、この働きは体の左右で全く同じ温度になるように管理されています。

 体を左右に等しく体温管理しているのは、交感神経という神経によるものです。交感神経は体温管理の他、内臓の動きをコントロールする仕事をしています。

・交感神経を見える化する

 交感神経は自律神経の一つであり、体を自動的に管理してくれている「生命維持機能」です。健康な体であれば、常に一定の働きを行なってくれます。ですが不健康な状態に陥ると働きに乱れが生じます。先に述べたように、体温の乱れや内臓の乱れがそれにあたりますが、これまでこの働きをなかなか見える形で知ることができませんでした。そこで当院では、これまであった赤外性計測を応用し、より精度が高い形で体温調節機能を見える化することに成功しました(特許取得)。これにより、体の機能状態をより正確に知ることが可能となりました。

・温度を測って内臓の機能状態がわかる?

 体温とはいっても、どこを計測するのかで全く温度が異なります。例えば、内臓など体の深部では通常38℃程度、体の皮膚表面では36℃になります。この「どこを測るか」というのが重要な部分になります。そのためには、まずは交感神経の仕組みからご説明してゆきます。

 交感神経は下の図1のように、背骨の柱に沿って走行しています。意味もなく背骨に沿って走行しているわけではありません。これは背骨の内部を走行する脊髄との連絡を持っているからなのです(図2)。

脊髄と交感神経
図1
皮膚分節と交感神経
図2

 交感神経は脊髄と協調して大きく3つの神経ルートを持っています。

1、内臓をコントロールする神経

2、内臓から筋肉へ

3、内臓から皮膚へ

正確性の探求

 赤外線で体の状態を計測することは、医療業界でも随分昔から実験が行われてきました。しかしながら、根本的な部分に問題がありました。その問題とは「現存の赤外線計測方法では正確な温度が測れていない」ということです。赤外線はご存じのように、サーモパイルというチップから計測体まで非接触で計測を行います。当院の依頼で第三者機関で行なった実験では、現存するサーモパイルチップ(医療用)では2つのチップが同一個体を計測して、同じ温度を示す割合が3%でした(0.01℃単位)。よって、おおまかな温度を比較するのであれば、これまでの仕組みでも可能ではありましたが、微細な温度比較を行う場合においては、現存の赤外線では無理がありました。そこで当院では、この温度を読み取るチップを1個以上の複数に増やし、計測誤差を薄める仕組みの構造にしました。これにより、より正確に交感神経の働きを読み取ることが可能となったわけです。